ウメ星デンカ

 

 

 ■作者のことば

異星人とはいえ、このまんがに登場されるのは、まぎれもない王室御一家であらせられます。王族の私生活がこのように赤裸々に公開されたことは史上に類をみないことではありますまいか、最敬礼!!〔第1巻〕

国をつくるということは大事業なのです。地球の人口はパンク寸前!地価はうなぎのぼり!ウメ星国再建の見通しは暗いのです。しかしデンカはくじけないのです。きょうもあしたもガンバルのです!!〔第2巻〕

この巻で登場するロボットのゴンスケは、実は「21エモン」という別の作品で生まれたキャラクターです。「ウメ星…」の登場人物が皆好人物すぎるので、アクセントとしてゲスト出演させました。〔第3巻〕

昭和46年 虫プロ商事刊 『ウメ星デンカ』1〜3巻より  

 

 ■キャラクターづくりの秘密

 「ウメ星デンカ」ギャグは、二重に仕組んだ設定の中に、詰め込まれています。具体的には、地球とかけ離れた宇宙人が、日常に入ってきたらどうなるか──ということと、その宇宙人が日常の規範と相いれない思想を持っていたらどうなるか──という構造です。
 ある夜のこと、中村太郎は円盤の墜落事故を目撃し、翌日探しに出かけ、小さなツボを発見して持ち帰ります。
 ところが、ツボからは地球人そっくりの宇宙人が三人現れ、小さな容器からは考え及ばないほどの家具を取り出して、太郎の部屋を占拠してしまう。
 あわれ、部屋を追われた中村太郎。
 不法占拠の事実に驚いた中村家の主人は、法の執行を110番に求めますが、相手が宇宙人というのでは、おまわりさんは笑って聞き流すだけ。かくなる上は、自分の城は自分で守るとばかり、鍋のヘルメットに六尺棒、野球のバットを腰間におとし、ドテラの尻をからげて、タスキを結んだお父さん、二階の階段を昇って太郎の部屋に飛び込む(このへん、日常と非日常の接触)。
 しかし、宇宙人たちは物干し台に出て、自分たちの母星・ウメ星の思い出を語り合っていたのです。お父さんは気の毒に思い、当分の間同居を許可します(宇宙人がウメ星の国王と妃、王子であったことが分かる)。この日から異星の二家族が、同じ家に住み、珍妙なおつき合いが始まるのです。
 ウメ星王国の三人には、どうも理解に苦しむことがあります。それは、中村家の人間をはじめとする地球人が、勲章の偉大な価値に無感覚なことです。ウメ星の人間なら発狂するほど喜ぶこの勲章を、地球人は、いっこうにありがたがらないのです。しかし、それでも王様は、事ある度に勲章を授けたがります。
 これと全く逆反応を示す人が、ウメ星国王を慕って地球にやってきた、侍従・ベニショーガです。臣従思想に凝り固まった時代錯誤も、笑いにつながっていくのです。
 例えば、中村家の二階で居候生活を強いられている国王を見るにつけ、ベニショーガは、かつて住んでいた大きな城を思わずにいられません。せめて独立した建物を造ろうと、手頃な空き地の発見に精を出します。有力な候補地を決め、ウメ星の札束攻勢をかけたり、泣き落とし作戦などを試みるのですが、ガンとして譲ろうともせず、逆に“逮捕するぞ”と、おどされて退散の憂き目にあわされます。その候補地こそ、皇居前広場だったというわけです。
 「ウメ星デンカ」に限らず、生活ギャグは素材やテーマの選択を、身近にしておくことが大切です。ウメ星人のツボは宇宙移動ロケットであり、欲しいものが何でも取り出せる、夢のような小道具です。このアイディアは、ドラえもんの四次元ポケットへとつながっていきました。
 ウメぼし、ラッキョウ、ベニショウガ、奈良漬けなどの漬け物が、ネーミングのヒントになったりします。ギャグはホントに油断もスキもないものです。

昭和58年 小学館刊ビッグコロタン1『藤子まんがヒーロー全員集合』より  

 

 ■藤子・F・不二雄先生からのみなさんへ

 困っている人は助けてあげなくてはいけません。ウメ星デンカ一家は、宇宙一困っている人たちです。なにしろ住んでいた星も宮殿も突然爆発して消えちゃって、やっとの思いで地球にたどりついたのですから。でも勝手に住みつかれた中村さん一家は大めいわく。さてこのさわぎ、どうおさまるのでしょう。

平成6年公開 「映画ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!」パンフレットより  

 

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