のび太の海底鬼岩城

 

 

 ■みなさまへ

 みなさんは、スーパーマンになってみたいと思いませんか。うんと強くなって、のびのび飛びまわって、悪い奴がいたらや(っ)つけてやりたいと、空想したことはありませんか。
 ところが、なんとあの弱虫の、のび太がスーパーマンになったのです。ただし、遠い宇宙のかなた、コーヤコーヤという星でのことですが、のび太はその星と地球の間を行ったり来たりしながら、つまり強くなったり弱くなったりしながら大活躍するのです。

 [以下、「怪物くん 怪物ランドへの招待」解説のため省略]
 [()内は管理人の修正]

『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』劇場用パンフレットより1981年3月発行  

 

 ■作者のことば

 この「のび太の海底鬼岩城」は、昭和五十八年に公開された、劇場用アニメーション映画の原作です。長篇ドラえもんの第4作目にあたり、初めて海を舞台にしました。深い深い海の底で、のび太たちは、地球上のすべての生物の危機にたちむかいます。
 神秘的な海底ならではの夢と冒険、そしてスリルを、みなさんもたっぷりあじわってみてください。

てんとう虫コミックス『大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城』1983年6月発行  

 

 ■藤子先生のことば

 「のび太の海底鬼岩城」は、大長編ドラえもんシリーズの第四作目になります。
 海底を舞台にした長編を…という考えは、前からありました。なにしろ、地球の表面の半分以上が海。月に着陸した人間はいても、一万メートルの海溝に降り立った者は、まだ一人もいないのです。小さな潜水艇がチラッと覗いて帰ってきたくらいです。だから、未知の生物がいるかもしれない。水没した古代の遺跡なんかもあるかもしれない。謎と神秘でいっぱいの世界です。冒険物語の背景としては、おあつらえむきの世界のはずなのですが…。いざ、まんがにしようとすると、ためらってしまうんですね。なぜでしょう?
 海は、地球で最初に生命の生まれたところ。あらゆる生物の、いわば故郷です。しかし、一方では人間を寄せつけないキビシイ顔も持っています。せいぜい百メートルも潜れば、一筋の光もささない暗黒の世界です。何百、何千メートルもの海水の重さが水圧としてのしかかり、人間のからだなんか一瞬でグシャグシャにしてしまうでしょう。こんな世界をリアルに描写しながら、ドラえもんをかいたらどうなるでしょう。やたら、重苦しくて、暗〜いまんがになるのではないてじょうか…。つまり、そんな心配が、ドラえもんたちを海底に潜らせなかった理由だったのです。
 しかし、考えてみれば、魚や鯨なんかは、現に海の中で楽しく(?)暮らしているわけです。暗黒の世界もものすごい水圧も、別に気にかけていないみたいです。それでは、もしドラえもんたちが人間の感覚を捨てて魚の感覚を身につけることができたらどうでしょうか。魚にとっての水は、人下にとっての空気と同じこと。可視光線(目に見える光)がなくても、電波とか超音波とか代わりに使えるものがあるはずです。そうなれば、ドラえもんたちは空を飛ぶ鳥と同じです。海の中でも、きっと愉快で楽しい冒険ができることでしょう。
 そこで、考えついたひみつ道具が“テキオー灯”。「のび太の海底鬼岩城」のアイディアは、ここからスタートしたのです。

  一九八九年六月二十五日

てんとう虫コミックスアニメ版『映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城』1989年8月発行  

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