もどりライト

落語編

 ■【ぼくの生まれた日】「ドラえもん」て2・F10

 待望の赤ちゃんが産まれたと聞いて、病院にかけ込むのび太のパパ。部屋にかけ込むなり、
 
パパ 『バアー、おとうさんだよ。大きいなあ!おかあさんそっくり。』
 ママ 『あかちゃんはそっちよ。』
 ほんのこれだけですが、同じ様なやりとりが「安産」でされています。
 

 

 ■【世の中うそだらけ】「ドラえもん」て9・F10

 100円と50円のアイスを買ったのび太。ジャイアンに呼び止められ、50円をもらって50円のアイスを渡す。ところがジャイアンの気が変わって、100円の方にすると言い、50円のアイスを返してもらい、100円のアイスを持って行かれてしまう。
 のび太は50円足りないと言って、ジャイアンに50円を要求するが、ジャイアンが言うには、はじめに50円払って50円のアイスを渡した。あわせて100円のび太に渡して、100円のアイスをもらったからちょうどじゃないか。なるほど、とまんまとのび太はだまされてしまいました。
 これは
「壺算」という噺が元ネタになっています。こちらでは壺の売買ですが、値引きもからんでくるのでのび太とジャイアンのやりとりよりも少々難しい内容になっていますが、本筋は全く同じです。
 

 

 ■【人間切断機】「ドラえもん」て10・F24

 「テレビ見ながら、おつかいに行けないものかしら。」というわけで、胴体と足を真っ二つにされてしまったのび太。この頃のシュールなドラって本当にいいですね。
 さて、胴と足に分かれたのび太ですが、突然の足の反乱に困り果てますが、ドラえもんのアイデアで水をうんと飲みます。そのためにトイレに行った足ですが、チャックを開けられないため、やむなく胴体のところに戻ってくるというオチ。
 これが元ネタかどうかは定かではないのですが、一応似た噺がありまして、
「胴斬り」というのがそれです。侍に毒づいたため、胴と足を真っ二つに斬られてしまった酔っ払い、特にのび太のように困ったわけでもなく、胴の方は風呂屋の番台として、足はこんにゃく屋でこんにゃくを踏む役として働いていました。そんなある日、友達が足からの胴への伝言を預かります。
 
「あんまり湯茶をたくさん飲むなと言って下さい。どうも小便がちかくなっていけねえ。」
 

 

 ■【いやなお客の帰し方】「ドラえもん」て11・F15

 のび太のパパの会社の社長がなかなか帰ろうとしない。なんとかして帰そうと、ドラえもんがゴーホーム・オルゴールを出します。これを聞くと家へ帰らずにはいられないという機械ですが、なかなか社長には効かず、ボリュームを思いっきり上げると、ママが実家に帰ります、と言い出してしまいます。
 これは
「嫁の下駄」という噺が元ネタでしょう。なかなか帰らない客に困っていた男が、その客の下駄にお灸をすえると慌てて帰ると聞き、さっそく実行するのですが、間違えて自分の奥さんの下駄にお灸をすえてしまったので、奥さんが実家へ帰ってしまいました、という噺。
 

 

 ■【ゆうれいの干物】「ドラえもん」て12・F14

 ぼろの空き家を自分の別荘に使っていたのび太、ところがその空き家に借り主ができてしまって、いつまでも空き家にしておく方法として、お化けを出して借りに来た人を脅かそう、とドラえもんに提案しますが、「古いなあ、今時そんなのはやらないよ。」と言われてしまいます。
 この空き家をお化け屋敷にして、借りようとした人を脅かすという噺が
「お化長屋」です。長屋の一軒を物置に使いたいので、借り手がつかないよう、お化けに扮装して脅かそうとしますが、こちらでもその企みは失敗に終わっています。
 

 

 ■【かがみのない世界】「ドラえもん」て27・F35

 もしもボックスで鏡のない世界にしたのび太。その世界は人間は誰も自分の顔を見たことがない。そこでのび太は鏡を出して見せるのだが…。
 この作品は古典落語の
「松山鏡」を元にしていると思われます。この噺は、両親を無くした親孝行の男に、領主が鏡を与えたことから始まります。男は鏡を見たことがなかったので、鏡に映った自分の姿を見て、亡くなった父親だと思い、大喜び。ある日その男の妻が鏡を見て夫が浮気をしていると勘違い。当然妻も鏡など見たことがなかった。次から次へと鏡を覗く人々が大騒ぎをして……。
 

 

 ■【死神山】「ドラえもん13・宝さがしごっこセット」
 ■【テケレッツノパー】「ドラえもん37・魔法事典」
 ■【アジャラカモクレン!!】「ドラえもん41・時限バカ弾」

 魔女っ子ノブちゃんの魔法の呪文と、時限バカ弾でママが口走った言葉ですね。これらは「死神」に見られます。借金に苦しむ男が首をくくって死のうとしているところに死神が現れ、「金の儲かる仕事を教えてやろう。医者になって病人の部屋に入り、死神が頭の方にいるか、足の方にいるかを見て、足の方にいたら呪文を唱えれば死神が消えて病人は治る。枕元に座っているのは寿命だからあきらめろ。」と教えた。この時の呪文が「アジャラカモクレン キューライソ テケレッツノパ」だった。
 ただし、この呪文はこの「死神」の時だけに使われるのではなく、落語では呪文の定番として使われているようです。
 また、宝さがしごっこセットが送ってきた暗号「死神山=四二が八=八つ神山」もこの噺から来ています。死神は先ほどの呪文は八人しか使えないと言う。何故かと男が問うと…もう、お分かりですね。
 

 

 ■【のび太の魔界大冒険】

 大魔王デマオンを倒すため、魔界に乗り込んだドラえもん達。魔界歴程によれば、人魚の歌を聴いてしまうと、小島に引き寄せられ、そこには大怪魔ツノクジラが住むとされています。そこで人魚の歌を聴かないようにと、耳バンを貼ります。
 元ネタと呼ぶべきかどうか迷うところですが、ドラとのび太の会話、
「霧が出てきたよ。」「違うよ、霧が出たんだよ。」の会話は「親子のつんぼ」という噺から来ているのではないかと思われます。
 耳の不自由な親子の会話、
 「せがれや、今挨拶に来たのは、横町の源兵衛さんじゃないかい」
 「違いますよおとっつぁん。あれは横町の源兵衛さんですよ」
 「そうかい、あたしゃまた横町の源兵衛さんかと思った」

 

 

 ■【わらわせ屋でござい】「オバケのQ太郎」F6

 人並みの顔になりたいQちゃんは夢にまでそんな夢を見てしまいます。エジサンがやっている整形外科ではどんな顔にでも整形できるという事でやって来たQちゃん。そこにはジェームス・ボンド、ナポレオンソロ、三船敏郎、勝新太郎、フジコ・フジオといったあらゆるかっこいい顔の見本が揃っています。
 これは
「首の仕替え」が元ネタでしょう。女性にもてたい男が首を取り替えてくれる医者へ行きます。そこには見本の首があるのですが、いい男の首は高すぎるので、落語家の首と取り替えることにします。
 
「落語家にもいい男がいますなあ、これは誰だんねん」
 「お前目が高いなあ。いいのを見つけた。これは○○の首や」

と、○○のところには落語家が自分の名前を入れて話します。ですからここでは「フシコ・フジオ」が出てきたわけです。
 

 

 ■【ラーメン屋になろう】「オバケのQ太郎」て3・F7

 屋台のラーメン屋にあこがれるQちゃん。ラーメン屋のおじさんから黙って屋台を拝借して、ラーメン屋を始めます。
 「ラーメン屋でござい!」と叫べば「うるさい」とどなられる、小池さんが食べに来るがうまく作れず失敗、酔っ払いにからまれるなど成果はさんざん。
 似たような噺に
「うどん屋」があります。題の通り、ここではうどん屋で、酔っ払いにからまれたり、「静かにしてくれ」などと言われたりします。
 

 

 ■【やさしいドロンパ】「オバケのQ太郎」虫8・て4・F12

 いたずらばかりしているドロンパが、自分のことをどう思っているのか気になる神成さん。協力しようとQちゃんが考えた作戦は、まず神成さんが怪我をしたふりをして、病院までドロンパに運ばせる。その途中でドロンパが大切にしている、アメリカで化け比べコンテストで優勝したカップをQちゃんが放り投げる。神成さんを放り出すか、カップをあきらめるかで判断しよう、というもの。
 結果は、ドロンパはおぶっていた神成さんを放り投げて、カップを空中で拾い、そのカップで神成さんを受けとめてしまいます。
 結局直接聞くことになり、Qちゃんは「おじいさんを大事に思っているのか。」と訊ねると、
「それは大事に決まってる。だっておじいさんがいなくなったら遊んでてごはんが食べられないもの。」
 これは「厩火事」が元ネタです。夫婦喧嘩をして夫の本心を知りたくなった妻が、夫の大事にしている瀬戸物を持って階段から落ちたらどちらを心配するかで夫の心を探ろうとします。こちらの噺では、夫は妻の方を心配し、「どこも怪我はなかったか。」妻は喜び、「そんなに私の体が大事かい?」「あたりめえじゃねえか、怪我をしてみねえ、あしたっから遊んでて酒飲むことができねえ。」
 

 

 ■【きみもスパイになれる】「オバケのQ太郎」虫コミックス10巻・FFランド14巻

 シュークリームが怖くてたまらないというドロンパ。ドロンパを怖がらせようとする正ちゃんたちだが、たくさんのシュークリームを前にドロンパは怖がってばかりはいられないと、シュークリームをぱくぱくと食べてしまう。まんまとだまされたことに気付く正ちゃんたち。
 これは有名な噺、
「饅頭こわい」から来ています。話の内容はシュークリームではなく、饅頭が怖いという点が違うのみで他は同じです。ちなみにQちゃんはドロンパに習って「思い出したけど、ぼくはマンジュウがこわい」と言っています。
 

 

 ■【なぜか家出をする】「新オバケのQ太郎」虫コミックス・自選集・FFランド2巻

 よっちゃんの家族に仲間外れにされ、くやしいから一緒に家出をしてくれとQちゃんに頼むU子。Qちゃんは家出はしたくないが、U子の頼みとあっては断るわけにもいかず、正ちゃんたちに涙の別れをしてくる。しかし、仲間外れにされたのが勘違いとわかり、U子はQちゃんなど目もくれず、よっちゃんとはしゃいでいる。一人残されたQちゃん、帰るに帰れず途方に暮れてしまう。
 この作品も古典落語から来ています。
「品川心中」という噺で、こちらは題名の通り、お染という女性に一緒に死んでくれ、と頼まれた金蔵が一人海に身を投げてしまう、という物語。もっとも、海が浅かったので金蔵は塗れネズミになっただけでした。
 

 

 ■【Qちゃんが死んだ!】「新オバケのQ太郎」虫コミックス・自選集・FFランド2巻

 U子さんに優しくされたくて、死んだフリをするQちゃん。Qちゃんが死んだと聞いてU子は大ショック。こんなことならもっと優しくしてあげればよかったと後悔するU子に正ちゃんたちは葬式をあげることを提案。葬式ごっこの最中、U子は形見にと、Qちゃんの髪の毛を切ろうとする。結局ウソがばれてU子は大激怒。「ほんとにころしてやる!」
 これまた、古典落語から。ただこれは、前に出た
「品川心中」の後半部分になります。お染に裏切られた金蔵は、仲間の協力で本当に死んでしまったという事にしてお染をだますことを計画します。みごとに計画は成功して、お染の髪を切らないと金蔵が成仏できないと言われ、お染はしかたなく髪を切ります。最後はウソだと分かってお染は悔しがるという噺です。
 ちょっと違うのは、髪を切られるのがU子ではなく、Qちゃんだというところ。これもU子らしくて、面白いですよね。
 

 

 ■【月世界にて】「21エモン」虫2・て3・F3・文2

 無銭旅行で宇宙旅行に出かけた、21エモン一行。ゴンスケのおかげで予算がすっかり狂ってしまい、これからの予定を立てようとします。
  
21エモン 「ちゃあんと、トラの巻を用意してきたさ。」
   
「きみにもできる宇宙無銭旅行」という本を取り出す。
  21エモン 「第一章、ロケットにただで乗る法。」
  モンガー 「おっ、いいぞ!」
  21エモン 「パイロットになるべし…………。」
  モンガー 「落語じゃないか!」
 はい、その通り。これは「夜店風景」から来ています。この噺では、夜店に売っていた本によると、電車にただで乗るには車掌になれとか、釜なしで飯を炊くには鍋で炊けなどなど。そして最後には「水に溺れぬ法」として、それによれば「筆に墨を付け、腹の辺りに横に筋をつけ、これより深いところに入るな。」
 

 

 ■【自殺集団】「モジャ公」虫2・サ3・F2・愛・文2

 ジュゲム三番星のフェニックスは誰も死なない星だと知った空夫たち。この星で一番若いという女性、パイポに一目惚れしたモジャ公はこの星がなぜ人の死なない星になったかを説明します。それによれば、昔フェニックスには二つの月があって、それらが一つになった時、シューリン効果が発生し、グーリンダイ線を放射したため、カイジャリスイギョ現象が発生したとのこと。
 これは落語でも有名な噺、「寿限無」からです。男の子が生まれ、男らしい立派な名前を寺の住職につけて欲しいと頼んだところ、住職が出した案を全部くっつけて下のような名前にしてしまいました。前に出てきたそれぞれの言葉はこの名前の一部から採られています。
 「寿限無寿限無、五劫のすり切れ、海砂利水魚の水行末、雲行末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶら小路ぶら小路、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助」

 もうひとつ、自分たちがお人好しなため、いつも損していると、オットーにならって自殺屋を始めようとする空夫たち。フェニックス星で首つりをしようとして、誰かに止めてもらい、親切にしてもらおうとするが…。
 この元ネタは
「身投げ屋」です。金に困って身投げ屋を始めた三吉。橋の上に立ち、誰かが通りかかったとき、飛び込もうとするところを助けてもらい、お金をもらおう、という作戦。ところがある時橋から飛び込もうとする親子を見つけた三吉。お金に困っていた彼らにお金を渡すが、実は彼らも身投げ屋だった。

 ここで登場する「ジュゲム」と「ポンポコナノポンポコピ」は「オバケのQ太郎」の「原始うらない」で、「チョーキューメー」は「21エモン」の「ひさしぶりだね5エモンくん」にも登場します。
 


 

 ■【こんにちはサギ師です】「ウメ星デンカ」虫2・て3・F2・文2

 お人好しな王様一家、サギ師にひっかかり、王国再建のために貯金していたお金をだまし取られてしまいます。ベニショーガの「人を信じてはいけない」という忠告に従い、徹底的に人を疑うようになります。
 そんな折りに太郎からもらったまんじゅうを見て、王様たちは、
 
「ム!ウマのウ○コかもしれんぞよ。」
 これは
「王子の狐」から来ていると思われます。ある男が狐が女に化けるところを見ていて、逆にこの狐を化かします。狐を化かすとお稲荷の怒りに触れると聞いた男はみやげを持って狐に謝りに行きます。
 だまされた狐の子供がこのみやげを受け取り、開けてみると、
 
「やあ、ボタモチが入ってらあ」
 「食べるんじゃないよ。馬の糞かもしれない」

 

 

 ■【血潮の海に……】「中年スーパーマン左江内氏」

 左江内氏が風邪をひいてしまった。風邪なんか病気の内に入らん、と会社に出かけようとする左江内氏を心配そうに見送る奥さん。
 「気がかりかね。わしの体が。」
 「当然でしょ。たいした貯えもなし、あんたに寝込まれちゃ一家心中だわ」
 「やれやれ、とんだ『うまや火事』だ。」

 
【やさしいドロンパ】「うまや火事」参照。
 

 

 ■【幽霊が団体で】「中年スーパーマン左江内氏」

 助けを求める知らせに呼ばれてお化けでも出そうな家にやって来た左江内氏。そこの主人が言うには、自分をこの家から追い出そうとしてヤクザが夜な夜なお化けの格好をして脅かしに来るという。 
 「落語にそんな話がありましたな。」
 【ゆうれいの干物】「お化け長屋」参照。
 

 

 ■【宇宙パイロットへの道】「21エモン」

 つづれ屋にやって来たお客。彼は21エモンがファンの有名な宇宙探検家スカンレーだった。彼によればステンレキョ星から帰ってきたところらしい。 
 
このステンレキョという言葉は「てれすこ」から来ています。代官所は漁夫が届け出た珍しい魚の名前を知っている者には100両を与えるというおふれを出した。ある男が出頭して「これは“てれすこ”です。」変な名前だが、他に知る者がいないので、やむなく100両を与えた。しばらくして「また珍しい魚が捕れたので名前を知る者に100両を与える」とのおふれが出た。同じ男が現れ、「これは“すてれんきょう”だ」と言う。代官は怒りだし、これは男が前に「てれすこ」だと言った魚を干した物、偽り者めと、牢屋に入れてしまった。結局イカとイカの干した物をスルメと呼ぶのと同じという事で男は釈放される。
 なお、この「テレスコステレンキョウ」は「オバケのQ太郎」の「イヌがイヌを飼う話」でも意味のない言葉として登場しています。

 

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