TIME PATROL The Branch of 20th Century 

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 僕は史劇映画が大好きです。いわゆる歴史劇ですが、必ずしも史上有名な人物や事件がでてこなくてもその時代の空気や匂いが感じられれば満足なのです。逆にどんなに豪華なセットや衣装でも、そこに生活感がないと気に入りません。BC何千年のエジプト人がカラフルな絹織物(らしき布地)なんか着ていると、それだけで白けてしまうのです。

 日常の行動やものの見方考え方など、現代の規範では理解できない部分が多かった筈。そんな部分もひっくるめて、可能な限り過去の忠実な再現を見たい。つまり、タイムマシンで本物の過去の世界を目の当りに観たいというのが、僕の究極の夢なのです。

 僕は大変な方向音痴です。以前一人でヨーロッパを旅したときは、地図を見ながら、道標を確認しながら歩いて、それでも何時も迷子になっていました。そこで改めて感じ入るわけです。三蔵法師やマルコポーロは偉いなあと。ろくな道しるべや地図もない時代に、よく無事にインドやモンゴルにたどり着けたもんだと。いや、考えれば考えるほどこれは凄いことですよ。

 道中未知の国を幾つも幾つも通り過ぎていくわけです。ガイドブックなしで。それぞれ言語も風俗も習慣も違います。宿泊施設とかシステムとかどうなっているのか、チップは? 両替は? 食事は? 古代の旅行者にだって偏食はあったはず。口に合う食べ物が見つからなければ餓死する恐れもあるわけで……。

 幸い僕は20世紀の旅行者です。迷いながらも目的の遺跡には、すべてたどり着くことができました。そして、例えば暮れなずむ パラチーノの丘にたたずみ、この小さな丘の上の都市国家から発展し、世界中にまで版図を広げたローマの人々に、思いを馳せたのです。

 そんなこんな過ぎた時代への思い入れを漫画にしたくて「T・Pぼん」を書きました。力不足で遠く意図に及びませんでしたが、実はまだ連載を終えてはいないのです。

  一九九五年五月

 
1995年刊 中央公論社 中公文庫コミック版「T・Pぼん」第3巻より

 

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