ぼくの描いているSF短篇は、いわゆる「アイディアSF」というジャンルに入ると、他の人から指摘されたことがあります。その時は、自分でもなるほどと思ったものでした。

 そもそも、ぼくがSF短篇を描く時に考えることは、ワンポイントでもいいから、読者を「おやっ!?」と思わせたいとか、できるならば「あーっ!!」と驚かせたいとかいうことです。つまり、どこかに、なにか一つ、意外性を含んだまんがを描いてみたいというあたりが、ぼくの創作意欲の出発点なのです。

 長篇まんがの場合などになると、この「おやっ!?」が一つだけではすまなくなるのです。「おやっ!? おやっ!? おやっ!?」とか,「あれっ!? あれっ!? あれっ!?」という具合に複雑にからみあっていくことになり、全体が見渡せないわけです。

 ぼくにとってのSF短篇は、どちらかというと、プロ作家の意識よりも趣味的に描いていたジャンルです。そのためか、なにか一つ、「タネ」を思いついたら、そのタネをいかに効果的に見せるかという、そこいらあたりが、ぼくが短篇まんがを描く時のポイントになるわけです。それは土壌の選択、タネをまく土を選ぶことです。どういう土が、その描こうとしているまんがに合うかどうかということは大切な問題です。いいかえれば、まんがの背景にどの世界を持ってくるかということです。

 タネをまいた後は、ただのびるにまかせるのが、ぼくの常です。植物の茎が空に向かってのびていく。そういった自然の展開を考えながら、この枝は本来の意図にそっているかどうか、この葉は本来の意図に必要であるかどうかを見ていきます。最初のイメージを基準にして、SF短篇としておさまりがいいように刈り取っていくわけです。いってみれば「盆栽」を育てているようなものなのです。

 手塚治虫先生の『火の鳥』のような大長篇を、一度でいいから描けたらと思わないわけではありません。しかし、今の段階では、それは一つの夢として、もっと将来のことにしまっておきたいと思っています。

中央公論社刊 藤子不二雄ランド VOL.235 「少年SF短篇3 マイロボット」より

 


 

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