一千年後の再会

 

 

 

 

 

 舞台は近未来。亜光速での宇宙航行が可能となった時代、そして今まさにタイムマシンが生まれようとしていた時代。
 主人公は二人の恋人、ジョウとウバ。しかし、ふとしたことからウバの心はジョウから離れてしまっていた。優れた科学者であるウバは彼から離れたいという一心から、実験段階中のタイムマシンで一千年後の世界に行くことを希望する。
 傷ついたジョウもまた、地球を離れ永久に帰りたくないと、宇宙の彼方へ飛ぶことを選択する。
 ウバとジョウの永遠の別れの直前、ウバはタイムマシンを開発しているT・M局局長から、彼女を実験台にするために、ジョウに対する彼女の感情に心理操作が施されたことを告白される。ウバが自らの感情を取り戻したときにはすでに遅かった。二人は千年の時間と千光年の距離に隔てられた世界に旅立っていた……。

発 表:1976(昭和51)年3月
初出誌:奇想天外 1976年4月号
頁 数15ページ(初出時)、20ページ(修正後)
初出解説:“SFロマン劇場1”

「やすらぎの館」      小学館 ゴールデンコミックス第2巻
「幸運児」         小学館叢書 異色短編集1
「ミノタウロスの皿」    小学館文庫 藤子・F・不二雄[異色短編集]1
「征地球論」        中央公論社 愛蔵版 SF全短篇 第3巻
「一千年後の再会」     中央公論社 藤子不二雄ランド 異色SF短篇3

 この作品はSF雑誌『奇想天外』の創刊号に描き下ろされた作品で、唯一この雑誌に掲載された作品である(『ある日…』は『マンガ奇想天外』に掲載)。
 偶然と必然、タイムトラベル、宇宙旅行と藤子Fが得意とするありとあらゆる要素を詰め込んだ傑作であり、また異色短編の代表作である。同じSF雑誌で、藤子Fが多くの作品を発表した『SFマガジン』の作風がギャグタッチであるのに対して、この作品は比較的リアルなタッチで描かれている。それ故、最後のページで普段のタッチに戻っているシーンが印象的である。

【盲亀の浮木】
 巡り会うことが甚だ困難であることを、大海で盲目の亀が浮木の孔に入ることの困難さにたとえたもの。

【ウラシマ効果】
 昔話の「浦島太郎」の浦島太郎が竜宮城から帰ってみれば、そこは未来の世界だった…。相対性理論によれば、光の速度に近い宇宙船での時間の進み方は違ってくるので、「浦島太郎」と同じことが起こる、ということからつけられた現象の名称。

 まず、修正内容以前に、この作品の初出誌では創刊号の割にページの順番を間違えるというミスを犯している。この雑誌に描き下ろされたのがこの作品のみというのは案外この辺りに理由があるのかもしれない。
 順番に修正内容を挙げていこう。まず、5ページ目の1コマ目と最後のコマは描き足し。7ページ目の2コマ目の「きみわるいよ。」が「きびわるいよ」になっていた。これは単なる誤植だろう。同じページの最後のコマ、8ページ目の最初のコマが描き足し。
 ところで、ウバが実験台として使用されたタイムマシンの型名だが、作品中に二度登場する(1回目が9ページ目の5コマ目、2回目が19ページ目の1コマ目)のだが、「ST−08」、「TM−80」と何故か統一されていない。初出時、ゴールデンコミックス、叢書では「ST−08」「TM−80」の組み合わせ、愛蔵版、FFランドでは「ST−08」に統一されており、小学館文庫では「TM−80」に統一されている。
 12ページ目は全て描き足し。13ページ目5〜9コマ目の描写はもともと3コマで描かれていたシーンを5コマで描き直している。14ページ1コマ目が描き換え、残りのコマは全て描き足し。15ページ目3コマ目「船内時間」が初出では「航内時間」になっていたが、これも初出誌の誤植であろう。同ページ5コマ目は描き下ろし。16ページ2、3コマ目が描き足し。
 18ページ目1〜3コマ目が描き換え、19ページ目2〜5コマ目が描き足しとなっている。

 


 

メール ホーム