タイトル

 

■キャラクターづくりの秘密■

 
ボクたちは、学生時代に見たディズニー映画に影響されて、チャンスがあったらアニメーションもやってみたいという大望を抱いていました。

その大望は昭和38年、アニメ製作会社スタジオ・ゼロをつくったとき、実現するハズでした。ところが、ボクたちには、動画に必要な根気というものがなく、失格のあげく、雑誌部という部署をつくり、そこの仕事をバリバリやって、アニメ制作がやりやすいようにしようと、折り合いをつけたのでした。

そして、それを見はからったように、ギャグマンガの依頼がとびこみ、二つ返事で始めたのが、この「オバケのQ太郎」でした。だから、スタジオ・ゼロ雑誌部での初仕事というわけです。

さて、新連載・予告の締め切り日は突然やってきて、ボクたちをあわてさせました。お化けまんがをかくことは、早くから決まっていたのですが、まだ時間があるわい……とノンビリしているうちに、もう後がないという始末。

とはいえ、ひき受けた仕事であるからには、つくらなければなりません。プロとはこんなものです(……と、いいながら、いつでもこうなんだと反省)。

まず、タイトルを考えます。ギャグものは、だいたい主人公の名まえが使われますので、〈オバケの○太郎〉と決定し、○の中にあてはまる文字を探したのです。三太郎、ドン太郎、カン太郎、怪太郎、変太郎など……。しかし、どれも〈コレダ!〉というものがありません。そこで、ひとまず休憩にして、散歩がてらに入った本屋で、Qの字を発見したのです。Q太郎は立読みの中から生まれたのです。

ここまでくれば、こっちのもの。イメージを浮かべ、顔やポーズをデッサンしてみます。ボクたちは、9種類のQ太郎を描き、消去法によって決定したのです。日本のお化け、西洋のお化けなどからイメージしたものなど、いろいろありました。そして、予告カットはできたのです。

嵐のような予告・締め切り日が過ぎたと思ったら、すぐ第一回目の締め切りがやってきました。その日、ボクたちは出勤電車の中でアイディアを固め、会社に着くまでに大まかなストーリーをつくりました。それで誕生したのが、髪の毛10本、デブっと太った、少しずうずうしい感じのQ太郎でした。

このQ太郎が、連載四、五回するうとに、後のスマートでかわいげなお化け・Q太郎になっていったのです。考えながら、計画的に変えたのではないことが不思議です。

連載の予定は7回でしたが、13回まで延長し、「オバケのQ太郎」はいったん終わりました。読者の反応が、あまりバッとしないからという理由でした。

それから約一ヶ月、ボクたちがQ太郎を忘れたころ、連載した雑誌の編集長が〈どうしてオバQをやめたのか!またはじめてください〉という、読者のハガキを持って現れたのでした。こんなことは初めてのことでした。でも、うれしかったなあ。

キャラづくりの話が、つい、思い出話になってしまいました。

昭和58年 小学館刊ビッグコロタン1『藤子まんがヒーロー全員集合』より

※この文章は、語り口の特徴から、安孫子先生によるものと思われます。

 

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